謎解き浮世絵叢書　葛飾北斎　百人一首 姥がゑとき

小倉百人一首の歌の心を、江戸の庶民の想像力で再構成。巨匠北斎の筆に成る風景画の魅力も備えた、美しく楽しい物語絵。

　　　葛飾北斎筆『百人一首　姥がゑとき』の世界

１　天智天皇　　　秋の田の仮庵の庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ
　　　　　　　　　　　この絵の主人公は誰？
２　持統天皇　　　春すぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山
　　　　　　　　　　　天香具山が見守る人々の営みとは？
３　柿本人麻呂　　あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む
　　　　　　　　　　　漁師たちが描かれた訳は？
４　山辺赤人　　　田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ
　　　　　　　　　　　富士を際立たせているものは？
５　猿丸大夫　　　奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋は悲しき
　　　　　　　　　　　鹿はどこにいる？
６　中納言家持　　かささぎの渡せる橋におく霜の白きをみれば夜ぞふけにける
　　　　　　　　　　　なぜ中国船なのか？
７　安倍仲麿　　　天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも
　　　　　　　　　　　主人公が眺めているのは？
８　小野小町　　　花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに
　　　　　　　　　　　桜を眺める老婆は誰？
９　参議篁　　　　わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣舟
　　　　　　　　　　　海女と海人、どちらが主役？

　　　コラム　鈴木春信の百人一首絵「持統天皇」

10　僧正遍昭　　　天つ風雲の通ひ路吹き閉ぢよをとめの姿しばしとどめむ
　　　　　　　　　　　なぜ春の景に？
11　在原業平朝臣　ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは
　　　　　　　　　　　紅葉模様か人間模様か？
12　藤原敏行朝臣　住の江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人めよくらむ
　　　　　　　　　　　北斎は船マニア？
13　伊勢　　　　　難波潟みじかき芦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや
　　　　　　　　　　　もしかしたら向島あたり？
14　元良親王　　　わびぬれば今はた同じ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ
　　　　　　　　　　　澪つくしはどこにある？
15　菅家　　　　　このたびはぬさもとりあへず手向山紅葉の錦神のまにまに
　　　　　　　　　　　牛車に乗っていたのは？
16　貞信公　　　　小倉山峰のもみぢ葉心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ
　　　　　　　　　　　小倉山を訪れた若い貴人は誰か？
17　源宗于朝臣　　山里は冬ぞさびしさまさりける人目も草もかれぬと思へば
　　　　　　　　　　　火の気がない鍋、その心は？

　　　コラム　奥村政信『絵本小倉錦』に見る『百人一首』の楽しみ方

18　春道列樹　　　山川に風のかけたるしがらみは流れもあへぬ紅葉なりけり
　　　　　　　　　　　しがらみは、どこに？
19　清原深養父　　夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月やどるらむ
　　　　　　　　　　　船の浮かぶ場所は？
20　文屋朝康　　　白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける
　　　　　　　　　　　なぜ蓮池にいるのか？
21　参議等　　　　浅茅生の小野の篠原しのぶれどあまりてなどか人の恋しき
　　　　　　　　　　　なぜ草刈りの童が描かれたのか？
22　大中臣能宣　　みかきもり衛士のたく火の夜は燃え昼は消えつつものをこそ思へ
　　　　　　　　　　　衛士はのんびり、歌人はいかに？
23　藤原義孝　　　君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな
　　　　　　　　　　　長生きの秘訣は風呂？
24　藤原道信朝臣　明けぬれば暮るるものとは知りながらなほうらめしき朝ぼらけかな
　　　　　　　　　　　なぜ駕籠は急ぐ？
25　三条院　　　　心にもあらでうき世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな
　　　　　　　　　　　謎の宮中行事？
26　大納言経信　　夕されば門田の稲葉おとづれて芦のまろやに秋風ぞ吹く
　　　　　　　　　　　棹に吊るされているものは？
27　権中納言定家　来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ
　　　　　　　　　　　何の作業をしているところ？

　　　作品目録
　　　美術館紹介