走れ蝸牛

“徘徊して践歴、蝸牛に似たり”、自らの人生を振り返るとき、さながらカタツムリのような歩みだったと述懐する著者が、日々の生活から歴史の大舞台まで、人間営為の諸相を観照した珠玉のエッセイ集。おだやかな言葉の中に、深い学識と鋭い視線がにじむ。

Ⅰ　　旅はさまざま
　　　馬と日本人
　　　綽名、元号
　　　水かけ祭
　　　地図は宝のにおい
　　　百万のマルコ
　　　点と線
　　　歌声よ、おこれ
　　　沙漠の周辺
　　　風呂考
　　　旅と人間
　　　はたご
　　　観風の旅
　　　旅行記
　　　大安吉日
　　　飛翔願望
　　　時代劇の約束ごと
　　　はきもの考
　　　帽子あれこれ
　　　海産物屋の弁
　　　ことばのはば
　　　判官びいきとモンゴル
　　　アーブ・オ・ハワー
　　　ハヤブサの旗

Ⅱ　　ウシ、ウシ、ウシ
　　　蝸牛廬
　　　クヮギュウ
　　　縮小世界
　　　髪型
　　　禁煙説
　　　続・禁煙説
　　　大モノ忘れ
　　　筆記道具
　　　青の周辺
　　　鉄蓮花
　　　恥かいてあやまる
　　　二人の王覆さん
　　　斗酒なお辞せず
　　　白髪三千丈
　　　一日千秋
　　　三劇演一
　　　左か右か
　　　右も左も
　　　大いなる羨望
　　　家紋
　　　怪文書
　　　声高らかに
　　　きみは身内か
　　　文章は永遠か
　　　蛍のうた
　　　蛍の光
　　　蛍光丸
　　　やかん
　　　我慢
　　　小言幸兵衛
　　　手先の器用さ
　　　マジック
　　　美しきものの運命
　　　口は一つ
　　　うまい酒
　　　金・銀・銅
　　　おりる人
　　　パンツの紐
　　　段がちがう
　　　風格
　　　パーマネント
　　　紹興酒・紹興人
　　　なぜ人差指なのか
　　　耳のチェン
　　　蠟日

　　　あとがき