ほっとする空海の言葉
ほっとするくうかいのことば
「お大師様」として今も広く親しまれる空海。 弘法大師空海の、壮大なスケールを持つ人間像と真言密教の深遠なる教えを親しみやすい言葉で再現する。気鋭の密教学者と空海ゆかりの名刹、神護寺住職の書による理想の入門書。
はじめに
一 心、はばたかせて─発心の章
人の憤りを写す、何ぞ志を言わざらん つのる思いを文に託して
還源を思いとす 根源へのあこがれ
空海少年の日、好んで山水を渉覧す 高野山への道
谷響を惜しまず、明星来影す 密教との最初の出会い
朝市の栄華念念に之を厭う 世俗の栄華は消え行くもの
小孝は力を用い、大孝は匱きず 世の中への孝行
生死海 いのちの荒海にも仏は宿る
虚しく往きて、実ちて帰る 師の思いやり深い心に満たされて
此の法に遇うことの易からざるなり 出会いあればこそ
努力、努力 一筋の道
時至り人叶いて道、無窮に被らしむ 時と人を得れば、道は尽きることがない
冬の凍、春に遇えば即ち泮ぎ流る やがて春は訪れる
仏法は遥かに非ず、心中にして即ち近し 真実はおのれの内に
豈況んや、人間少々の果報をや ケチな成果はいらない
君見ずや、君見ずや ご覧なさい、人の世の姿は
早く法身の里に入れ 真実のふるさとへ
二 沈思の旅─修行の章
生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終りに冥し
生と死を繰り返すいのちの流れ
三界は家なし 定めなき輪廻の世界
嘆くべし、嘆くべし、幻化の子 愛弟子は無常の時の彼方へ
高山に風起り易く、深海に水量り難し 人の迷いが深いほど
世諦の事法は如来すら存して毀りたまわず 生きる者の避けられぬ定め
孤雲は定まれる処無し はぐれ雲はどこにいる?
南山の松石は看れども厭かず 大自然のふところに抱かれて
家も無く国も無し 真の自由人には故郷もなく
法界を家として恩を報ずる賓なり 隔てなき報恩の思い
山霞一咽夕に神を谷う 山に心育まれる
知音と知音は蘭契深し 友のみが知る思い
南峯に独り立って幾千年ぞ 時と宇宙に思いをはせる
喜ぶこと莫れ、嗔ること莫れ、是れ法界なり
ありのままに見て、とらわれるな
楽と不楽と、得と不得と、自心能く為す 幸せはおのれの心次第
清涼寂静 慈悲あれば、心すずやかに
深般若 深い智慧により、物事は移り行くと見る
水を歴て玄珠を瑩く 悟りを求めて山をめぐる
自心の宮を観よ いのちの鼓動を感じる
三 いのち、輝く─菩提の章
深く荘厳秘蔵を開く 心の眼を開けば、全ては仏の光の中に
万類万品、雲に乗じて雲のごとくに行く いのちあるものが向かうところ
汝が三密は是れ理趣なり 真理への道は、あなた自身の中に
毒薬乍ちに薬となる 迷いのただ中に悟りを見る〝心の錬金術〟
刹塵の渤駄は吾が心の仏なり 無数の諸仏は、わが心に
三密刹土に遍して、虚空に道場を厳る 大自然にマンダラを見る
大空位に遊歩す 悟れば、人生は大空に遊ぶがごとく
如如如如の理、空空空空の智 あるがままに、大きな心で
六大無碍にして常に瑜伽なり 仏のいのちを見よ
三密加持して速疾に顕わる 響き合って、悟りはすぐに
六塵悉く文字なり 全ては仏の声
如義語とは、実空にして不空なり とらわれなき真実の言葉
真言は不思議なり。観誦すれば無明を除く
一心に真言を唱えれば迷いは自然に消えて行く
三界は客舍の如し。一心は是れ本居なり 本当のわが家は、心の奥底に
如実に自心を知る 心のありのままの姿を見つめよ
此の大虚に過ぎて広大なるものは我が心 心は大空よりも広く
無我の大我 真のおのれにたどり着け
有り識有るものは必ず仏性を具す 平等で尊い仏のいのち
四 永遠の願い─涅槃の章
悲しい哉、悲しい哉。悲の中の悲なり 悲しみを超えて行く空海の声
不摂にして摂したまえ 救わずして、救う
物の興廃は必ず人に由る 何をなすのも人
悪平等 善差別 平等の中に区別を見る
文は是れ糟粕なり、文は是れ瓦礫なり 言葉では語り尽くせぬもの
書は散なり 書は、心と万物との響き合い
心垢しければ境濁る 境閑なるときは心朗かなり
環境は人の心を映す
一鳥声有り、人心有り 鳥のうたに心は応えて
真俗離れず 本当の教育をめざして
医王の眼には途に触れて皆な薬なり 人生はかけがえのない学びの場
苦を見て悲を起すは観音の用心なり 慈悲とは、共感する心
一切の男子は是れ我が父、一切の女人は是れ我が母
いのちあるものの恩に報いよ
師資の道は父子よりも相親し 志を共にする者のきずな
大空三昧 智慧は、何事にもとらわれなく
法界無縁 慈悲は、自他の隔てなく
時として暫くも忘るることなし 志は、絶え間なく
方便を究竟とす 救いの働きは、終わりなく
虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きん
同行二人への旅立ち
あとがき
一 心、はばたかせて─発心の章
人の憤りを写す、何ぞ志を言わざらん つのる思いを文に託して
還源を思いとす 根源へのあこがれ
空海少年の日、好んで山水を渉覧す 高野山への道
谷響を惜しまず、明星来影す 密教との最初の出会い
朝市の栄華念念に之を厭う 世俗の栄華は消え行くもの
小孝は力を用い、大孝は匱きず 世の中への孝行
生死海 いのちの荒海にも仏は宿る
虚しく往きて、実ちて帰る 師の思いやり深い心に満たされて
此の法に遇うことの易からざるなり 出会いあればこそ
努力、努力 一筋の道
時至り人叶いて道、無窮に被らしむ 時と人を得れば、道は尽きることがない
冬の凍、春に遇えば即ち泮ぎ流る やがて春は訪れる
仏法は遥かに非ず、心中にして即ち近し 真実はおのれの内に
豈況んや、人間少々の果報をや ケチな成果はいらない
君見ずや、君見ずや ご覧なさい、人の世の姿は
早く法身の里に入れ 真実のふるさとへ
二 沈思の旅─修行の章
生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終りに冥し
生と死を繰り返すいのちの流れ
三界は家なし 定めなき輪廻の世界
嘆くべし、嘆くべし、幻化の子 愛弟子は無常の時の彼方へ
高山に風起り易く、深海に水量り難し 人の迷いが深いほど
世諦の事法は如来すら存して毀りたまわず 生きる者の避けられぬ定め
孤雲は定まれる処無し はぐれ雲はどこにいる?
南山の松石は看れども厭かず 大自然のふところに抱かれて
家も無く国も無し 真の自由人には故郷もなく
法界を家として恩を報ずる賓なり 隔てなき報恩の思い
山霞一咽夕に神を谷う 山に心育まれる
知音と知音は蘭契深し 友のみが知る思い
南峯に独り立って幾千年ぞ 時と宇宙に思いをはせる
喜ぶこと莫れ、嗔ること莫れ、是れ法界なり
ありのままに見て、とらわれるな
楽と不楽と、得と不得と、自心能く為す 幸せはおのれの心次第
清涼寂静 慈悲あれば、心すずやかに
深般若 深い智慧により、物事は移り行くと見る
水を歴て玄珠を瑩く 悟りを求めて山をめぐる
自心の宮を観よ いのちの鼓動を感じる
三 いのち、輝く─菩提の章
深く荘厳秘蔵を開く 心の眼を開けば、全ては仏の光の中に
万類万品、雲に乗じて雲のごとくに行く いのちあるものが向かうところ
汝が三密は是れ理趣なり 真理への道は、あなた自身の中に
毒薬乍ちに薬となる 迷いのただ中に悟りを見る〝心の錬金術〟
刹塵の渤駄は吾が心の仏なり 無数の諸仏は、わが心に
三密刹土に遍して、虚空に道場を厳る 大自然にマンダラを見る
大空位に遊歩す 悟れば、人生は大空に遊ぶがごとく
如如如如の理、空空空空の智 あるがままに、大きな心で
六大無碍にして常に瑜伽なり 仏のいのちを見よ
三密加持して速疾に顕わる 響き合って、悟りはすぐに
六塵悉く文字なり 全ては仏の声
如義語とは、実空にして不空なり とらわれなき真実の言葉
真言は不思議なり。観誦すれば無明を除く
一心に真言を唱えれば迷いは自然に消えて行く
三界は客舍の如し。一心は是れ本居なり 本当のわが家は、心の奥底に
如実に自心を知る 心のありのままの姿を見つめよ
此の大虚に過ぎて広大なるものは我が心 心は大空よりも広く
無我の大我 真のおのれにたどり着け
有り識有るものは必ず仏性を具す 平等で尊い仏のいのち
四 永遠の願い─涅槃の章
悲しい哉、悲しい哉。悲の中の悲なり 悲しみを超えて行く空海の声
不摂にして摂したまえ 救わずして、救う
物の興廃は必ず人に由る 何をなすのも人
悪平等 善差別 平等の中に区別を見る
文は是れ糟粕なり、文は是れ瓦礫なり 言葉では語り尽くせぬもの
書は散なり 書は、心と万物との響き合い
心垢しければ境濁る 境閑なるときは心朗かなり
環境は人の心を映す
一鳥声有り、人心有り 鳥のうたに心は応えて
真俗離れず 本当の教育をめざして
医王の眼には途に触れて皆な薬なり 人生はかけがえのない学びの場
苦を見て悲を起すは観音の用心なり 慈悲とは、共感する心
一切の男子は是れ我が父、一切の女人は是れ我が母
いのちあるものの恩に報いよ
師資の道は父子よりも相親し 志を共にする者のきずな
大空三昧 智慧は、何事にもとらわれなく
法界無縁 慈悲は、自他の隔てなく
時として暫くも忘るることなし 志は、絶え間なく
方便を究竟とす 救いの働きは、終わりなく
虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きん
同行二人への旅立ち
あとがき
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